同人サークル<アレ★Club>公式ブログ(通称:「アレ★Blog」)

ジャンル不定カルチャー誌『アレ』を作っている<アレ★Club>の日々の活動記録です。

信用できる人・できない人の見分け方~趣味で人は理解できるか?~

★対談者紹介★
◆永井光暁
<アレ★Club>の事務局長。「思い込みはあまり無い方だ」と思い込んでいる。

▲山下泰春(@yasuharu_are
<アレ★Club>の代表。「自分には主体性が無い」と思い込んでいる。

 

◆永井
この前、とある人と会ったんだけどさ、「僕は中立です」と言いつつ、「オルグ」を連呼したり、某元市長を批判したり、「運動」を強調したりと、バリバリの左だったんだよ。別に左でもいいんだけどさ、左にしか見えないのに「僕は中立です」って言うのは、流石にどうかと思った。

 

▲山下
周りに「自称中立」が多くて自分の偏りが見えなくなっているんでしょうかね?世の中的には「自称中立の人が実際にとる行動は、体制派のそれだ」というのが相場だと私は思うんですが……。永井さんがお会いしたというその人に関してはもう、「お前がそう思うんならそうなんだろう。お前ん中ではな」っていう一言以外に差し上げる言葉がない感がありますね……。

 

◆永井
まあ、ね。そういや、自分が正しいと思ってることって、どうしてそう思えてるんだろういやさ、最近アクの強い人にやたらと会うんだけど、そういう人たちの主張に対して、「どうしてそう思えるんですか?」って聞いても、根拠らしい根拠は提示してくれないんだよね。なので、「アナタ、それ思い込みで言ってませんか?」って言いたくなっちゃう。

 

▲山下
ああ、実際私たちもうっかり気付かないうちに思い込みでモノを語ってしまってるケースも多いでしょうね。先の人について私達が抱いた「思い込みが多い」っていう印象も、判断材料となる情報がそんなにない以上「思い込み」かもしれないですし。

ちなみにですが、「思い込み」を社会的な枠組みで捉えた心理学の用語で、「偽の合意効果」というものがあるんですが、これは「自分が考えていることは他の人も自分と同じように考える」傾向のことを指します。

 

◆永井
なるほど。いろんな人が思い込みについては考えているわけだ。

うーん、ここで考えてみると、他の人から聞いた話って、結構思い込みに繋がりやすいと思う。信用というか信頼というか。

 

▲山下
それは例えば「どこそこのラーメン屋は美味しいぞ」といった話とか、「あの政治家はどこそこの団体と繋がっている」といった話のことですよね。この例では思い込みの対象が食や政治でしたが、信用や信頼が思い込みのもとになることってどの対象でも起こりうるんでしょうか?

 

◆永井
そうなんじゃない?聞いた人が信用に足る人物だったら、「あぁ、あそこのラーメン屋は美味しいんだ」っていう思い込みが生まれるし、「あの政治家はあんまり良くない人物なんだな」っていう思い込みも生まれるよね。逆も然りで、聞いた人が信用できなければ、「あそこのラーメン屋はマズいんだな」、「その政治家はまだマシな政治家なんだな」という逆の思い込みが生まれる。

 

▲山下
そしてもちろん、その思い込みが間違っている場合は往々にしてある(笑思い込みの根拠になるかならないかの信用値って、人物ごとにステータス的に割り振って考える方が妥当なのかもしれませんね。

当たり前の話かもしれませんが、ラーメンに詳しいからといって、政治感覚も備わっているとは限りませんよね。だから、何かしら話を聞くにしても、その人がまず信頼に足る人物か、少なくともその聞こうとしてる分野に関して詳しいかどうかをチェックする必要がある。さもないと「変な思い込み」を植えつけられちゃうかもしれません。まあ個人的には、だからといって人を試すような行為は好きじゃないんですけど……。

 

◆永井
うん、正論だと思う。でも、しっかり勉強していない素人は、ヨソの分野の人を「なんか、この人詳しそう」とかの印象でしか判断できないんじゃないかな。何に関しても真面目に勉強することを全員に期待するのは無茶だと思うし。で、そうやって印象で詳しそうな人を見定めると、実はその人が全然ダメだったりすることがあるワケで。

たとえばだけど、いわゆるエセ学者みたいな人はいるよね?一見するとその筋のオーソリティーなんだけど、知ってる人たちからすると言っていることがチャランポランだったり、「お前本当に専門家かよ!?」みたいなことを言ってたりとか、いるよね、そういう人。まぁ、誰とは言わないけど。

 

▲山下
趣味で人を判断してる場合も多いですよね。たとえばウチの(堀江)くらははLed Zeppelinが好きかどうかで人を判断してるケースが多いです。良い悪いはともかくとして。教養主義っぽく見えるかもしれないけど、何が信用に値して何が信用に値しないか漠然としている場合は、こういう「趣味で人の信用を判断する」ってのは、一つのモデルなのかもしれません。

 

◆永井
あるねぇ。相手が巨人ファンと知った時点で殺意が芽生える阪神ファンとか、仲の良かった人が逆カプ押しだって知った途端に崩壊する友情とか……まぁ、後者はまた特殊な世界だけど(笑)

それはともかくとして、趣味ってのは言い換えれば個人の嗜好のことだから、「●●さんはXXが好き/嫌い」ってのは、その人のモノの見方を知る上で重要な情報だと思う。たとえば、「僕はクラシックが好き」って人なら、ある程度はクラシックの知識があって、他のジャンルの音楽とは違う良さを説明できるはずだし。

ただまぁ、もちろん例外もあって、ちょうどこないだ明らかに化学調味料ガン盛りのメシ食いながら「ダシが効いてて旨い!」って言ってる人を見かけたりしたんだけど……(笑)

 

▲山下
それはまた凄いですね(笑)話が横道に逸れましたけど、結局のところ、デカルトの方法的懐疑の例を出すまでもなく、何に関しても疑おうと思えばいくらでも疑えてしまえるんですよね。「思い込みがある」というのも、もしかしたらそう思い込んでるだけなのかもしれないので、判断の基準ってのは無限に存在するのかもしれませんね。

 

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後日の山下泰春「二郎系食いたい」

 

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ぶかつ麺!ジロリアンはじめました (ホームコミックス)

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【レポ】代表(23歳大学院生)に街コン行かせたら見事に爆散した件


★対談者紹介★
▲山下泰春(@yasuharu_are
<アレ★Club>の代表。今月街コンに行ってきた。

◆永井光暁
<アレ★Club>の事務局長。コンパ的なものには行ったことがない。

 

▲山下
「出会いがない、とにかく出会いがない」って最近文句言ってたら永井さんに「街コン行け」って言われたんで、一緒に作戦まで事前に立てて行ったんですけど、全然ダメでした。永井さん、私の参加費返してください

こういうイベントではいつものことですが、女性が3,000円程度だったのに、男の私は2倍くらい払って、なんか安い食べ放題&飲み放題をつまみながら「つがい」を見つけるだけの簡単なイベントでした。分かってましたけど。ただ、それにしても徒労の感が否めない。

 

◆永井
まぁ、基本的に街コンは男性の方が参加費が高いからね。そうでもしないと女の子も来ないだろうし。メシも別に期待してたワケじゃないでしょ。そもそも、異性と話すのに食ったり飲んだりするヒマとかなさそうだし(笑)なので、そこは文句言いなさんな。で、ちゃんと作戦通りにやったの?

 

▲山下
やりましたよ。周りの男ども全員をぶっ飛ばして私が一番だと見せつけるために国公立大学の院生という学歴を最初にぶちかますってアレですよね。学生コンだから周りの連中も学生のはずなので、まずはそこで差をつけてやりましたよ。その結果、ドン引きされたんですが。

お世辞にも真面目そうな見た目から程遠い私が大学院生っていう時点で、なんか男どもだけでなくて女性の参加者の方々もみんな固まってしまったんですよ。そもそも学歴を言ってたのは、私の他には女性が一人いただけでしたし。

 

◆永井
えっ、作戦大失敗?

 

▲山下
大失敗です。驚嘆の声が上がりましたが、アレ絶対「うわ、こいつなんやねん」って思われてましたよ。

 

◆永井
マジかー。でも、皆さん学生さんなんでしょ?学生限定となると、ある程度学歴がモノを言う印象があったから、それを押せば話の入口になるかなって思ったんだけどね。でも、学生コンだと学部とか研究科とか、あるいは専門の話に少しくらいはなると思うんだけど、来てた女の子のそういうのってどうだった?

 

▲山下
意外と理系の人が多かったですね。薬学とか、看護みたいな。ただ、主に学部生なので専門の話とかはできませんでした。しかも「どうして●●学を勉強しているの?」と聞いてみたりとかもしたんですけど、明確な答えが返ってくることもなかったです。結局、このご時世に大学に勉強しに来ている人はあまりいないってことなんですかね(憤怒)

あと、院生も一人いたんですけど、その人も「なんとなく進学しちゃった」みたいな人でした(激怒)

 

◆永井
薬学とか看護なら「手に職をつけたいから」みたいな回答がありそうだけど、それもなかったのね。

今回の結果が全てではないだろうけど、「学生コン」と言えど、学歴とか研究の話をしても、あまり意味がないってことなのかな。えっ、じゃあわざわざ「学生」って看板つけてるのはなんでなの?そもそも学ばないのに「学生」とは……「学生コン」とは……。

 

▲山下
既に私たち、意識が高すぎたんですよきっと。普段「意識高くしすぎてもダメ」とか言ってる私たちですが、世間の目から見ればもう手遅れだったってことです。ああ、やっぱ私は学問してない女の子とは付き合えない!

 

◆永井
院生ですら「なんとなく院生」なのであって学問したくてそこにいるわけじゃないとすると、山下君が求めるような真の院生女子とか高学歴女子とかと出会うハードルは高そうだねぇ……。

 

▲山下
しかもなぜか社会人が数名いましたしね(笑)どうせ人数が足りてなかったんでしょう。募集人数は男女ともに30名ずつだったんですけど、実際行ってみたら男女合わせて18人(男性:9名、女性:9名)でしたからね!もう!半分以下じゃねーか!しかも、これは後で話しますけど、内情はもっと酷い

 

◆永井
大学生とかのうちから街コンに来る人って結構レアなんだろうね。普通、街コンっていうと社会人同士の出会いを促進する目的の方が強いはずだし。多分、出会いの場がまだ多いと想定される学生同士というものは需要があまりないんだろうね。

実際、若いうちは学生なら男女共にサークルとか大学の友達繋がりとかで出会いはあるだろうし、最悪出会い系を使えばどうとでもなりそうだしね。

 

▲山下
いやでも、一丁前に大人になっても世間はこんなにフワフワしてるんだって思うと私、就職してからも気の合う女の子を見つけられる気がしませんよ……。

だって、まず最初に自己紹介をしたんですよ。男女3人ずつ向かい合って着席してからプロフィールカードみたいなのを書いて、それを元に趣味とか語ってもらったんです。もうね、趣味という趣味が思いつかない人が山ほどいるんですよ。特に女性!

私も、なるだけ大学院生にまとわりついているであろうインドアなものを避けて、ハイキングとか食べ歩きみたいな、アウトドアなものを書いたりしたのですが、効果があったとは思えない。第一、自分の趣味すらない人が他人の趣味を気にしますか?一体、彼ら彼女らは恋人に何を求めてるんだ……。

 

◆永井
なるほど。それで、ここまでの話から推測するに出会えなかったと。でも、自分好みの女性がいなかった以外にも反省点はあるでしょ。流石に「自分は正しくて相手が悪い」なんて腑抜けた言い訳はしないよね?

 

▲山下
はい、言い訳はしません。今回の私の敗因は、第一に見た目がヤンキーだったことだと思います。他の人はほぼ全員、真面目そう、あるいは誠実そうな装いをしていましたからね。他の人の会話が盛り上がるように色々と引き立てたりもしたんですが、第一印象でのビハインドは取り返せなかったようです。

というのも、あんまり女性と話してなかったりとか、趣味がPC・ゲームみたいな人でも、カップル成立してたりとかしてましたからね!普通の格好をして何もしないのが正解だったみたいです!(憤怒)……まあ、とにかく、悪目立ちしすぎました。

 

◆永井
山下君、見た目はタダのヤンキーだからね(笑)まぁ、結局『人は見た目が9割』ってことですね、分かります。

でも、逆に考えれば、趣味がインドアだったり、地味なタイプでもカップルは成立するってことだから、そういう人でもワンチャンあるってのは救いでしょう。立派にカップル成立してたんだからそのイベントだって大成功だったわけじゃない。成立したカップルが続くかどうかはともかくとして(笑)

話題を変えるけど、さっき「内情はもっと酷い」って言ってたよね?チョットその辺りの話をしてくださいな。

 

▲山下
実はサクラが一人いました。なんかすごいメシ食ってる女の子がいて、「そんな食って大丈夫なの?」って聞いたら、途中で打ち明けられて……。まあ、「人数が告知よりずっと少ない」って辺りで、勘の良い永井さんは気付いていたかもしれませんが。とはいえ、最終的にその人と一番仲良くなりました(笑)だから、帰りもお互いの身の上話をしながら途中まで一緒に帰ったりしましたね。ただ、残念ながら彼氏持ちでした(泣)そのサクラの子のことが好きだった男の子は可哀想だなあ。

あと、今考えると出会い目的かどうか怪しい人がチラホラいましたね。他に目的があって、ついでで参加してる……みたいな。だから、自己紹介の後のフリートークの時間でも、女子会が始まってたりとかしてました。

 

◆永井
あー、ホントにサクラっているんだねぇ。ってか、サクラと仲良くなるとか、ある意味で勝ちじゃん(笑)ある意味でサクラじゃなかったんじゃない?だって、良い思いさせてもらったんだからさ!夢を買ったと思いなよ(笑)

でも、話を聞く限り、同性で仲良くなるパターンみたいなのもある感じなのかな?その意味で、参加してた男性と仲良くなれたりとかしなかったの?

 

▲山下
そのサクラの子を好きだった男の子とは仲良くなれそうだったんですけど、結局連絡先まで交換するには至りませんでした。その男の子的には、利益があって私と一緒にいたような気がします。私は結構その場で話題を振ったりする立ち回りをしていましたから。割といい仕事したんじゃないかなあ。まあ、その人もカップル成立はしませんでしたが。

それで、仕方ないので帰りに古本屋に寄って、ジンメルの『愛の断想/日々の断想』を買って帰りに読みました。彼の恋愛論も、彼の貨幣論とか都市論みたいに、相互作用を基調とした恋愛論を展開しててですね……。

 

◆永井
はいはい。なるほど、とりあえず散々な街コンだったというワケだね。まぁ、悔いても仕方ないので、次に向けて頑張りましょう。それに、勉強になったでしょ?授業料よ、授業料。だから払い戻しはしないよー。

 

さて、はたしてウチの代表に彼女はできるのか?
読者の皆様、今後にご期待ください。

 

街コン行ったら人生変わったwww?彼女メガ盛り量産法?

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 これ読んでから行くべきだったね^^

愛の断想・日々の断想 (岩波文庫)

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人は見た目が9割 (新潮新書)

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つーか、よくよく考えると社会人中心の<アレ★Club>の代表が学生ってアレだな。
by堀江くらは

見えてこない「若者像」を考える~ネットの中の若者文化~

★対談者紹介★
●市川遊佐(@ichikawa_yusa)
<アレ★Club>の副代表。「自分はもう若者ではない」と悟って色々と辛いお年頃。

▼さいむ(@_Thursday_man_
『ひとりぼっちの地球侵略』が生きがいの人。『アレ』Vol.1に論考を寄稿予定。

■堀江くらは(@kuraharu)
<アレ★Club>所属のライター/編集者。

 

●市川
僕、メディアに関わる者として、昔から狭い世界での常識しか通用しない人にはなりたくなくて、そのためにいろんな人と知り合おうとしてきたんですよ。でも最近、若者とどうやって知り合えばいいのか悩んでまして……。

 

▼さいむ
「若者」って、どのあたりの年齢層のことを言うんです?

 

●市川
今は「多くの人と知り合う」のが目的だから、よく会う親戚とかではカバーしきれない層ですかね。僕の場合だと……あ、親しい親戚がいないから、20歳くらいから下全域です(笑)でも、そういう子とどうやって友達になればいいんでしょう、知り合う機会がないんですよねえ……。

 

▼さいむ
それは、彼らと私たちで住んでいるメディアが違うからじゃないですか。お年寄りは文通やラジオ番組のお便りコーナーで、若者はSNSで、という印象ですけど、そのSNSの中でも、私たちはTwitterを、若者はLINEをメインに使用している感じはしますね。まあ、私も広義ではまだ「若者」ですけど。

 

●市川
LINEメインだと、普通は直接対面で会うまでは繋げないですよね。ああ、だから知り合う機会がないわけだ。これは工夫が必要ですね……あと、他にも今の若者が使ってるメディアについて、僕らと違うところってありますか?話題は知り合う前に共有しておきたいですし。

 

▼さいむ
今だと、Twitterで「◯◯高校入学しました」とつぶやくことで、同期同士で集まって、先に友達に「なっておく」人は増えたように思います。たまにプロフィールで「◯◯高校××期△△部所属」みたいな自己紹介を書いてる人とかいるじゃないですか。

 

●市川
一昔前なら2chでやってたやつですね(笑)その後リアルで知り合ってから、今度はLINEで繋がって……という感じの。LINEは既存の関係性を強固にするために使われるSNSですね。まあ、他にも使い途はあると思いますが……うーん、Twitterの実名アカウント同士で親しく会話してる人たちの中にも、ちょっと入りにくいですね。苦しい。

 

■くらは
LINEを中心に使うということは、彼らが日頃使っているモノはスマホがメインだということでもあります。若者がこれまでの流れと違って逆にパソコンに弱くなっているというのは、最近よく言われていることですね。

 

●市川
使ってるメディアだけじゃなくデバイスも違うんですね。そこまでくると世界観すら変わってきそうだなあ。僕らが素のノリで彼ら若者にアプローチしても、多分「なんかノリが違う人が絡んできたな」と思われて仲良くなれないかもしれない。僕らから見て一回り上の世代のノリが、僕らからすると「なんか、合わない」気がして、嫌な感じがすることすらあるみたいに。

 

■くらは
僕には中学生の甥っ子がいるんですが、彼らはニコニコ動画ではなくYoutubeを視聴するそうです。その理由が「登録が面倒くさいから」というから驚きです。僕らの世代では考えられなかった。それに加え、今ではニコ動を「おじさんの使ってる」ものだと考える若い人もいるみたいです。ナウでヤングな方々は、Vine等の新しいメディアを使っている。しかも、若者が使っているSNSは多岐に渡るので、なかなか現状が掴めない。

他にも、「若者のメール離れ」がニュースになっていました。これも僕たちの世代とはかけ離れている。色々な部分で、若者が遠くなっている気がします。

 

r25.jp

 

●市川
使うメディアとデバイスが変わることで、最近の若者のコミュニケーションのスタイルだけでなく、感性や考え方すらも私たちのそれと違うものになっているかも、という話ですね。もし、今まで話した通りに私たちと若者の価値観が違うとすれば、私たちもメディアを提供する立場のものとして、彼らとの向き合い方を考えないといけないでしょうね。

 

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まだ20代前半の山下泰春「機関誌『アレ』Vol.1では若者論も取り上げる予定です!」

 

「若者論」を疑え! (宝島社新書 265)

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S.H.Figuarts 宇宙刑事ギャバン

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 若さってなんだ?(懐疑)

一億総マイルドヤンキー化は楽園か?~地方民と都会民から考える日本経済~

★対談者紹介★
●市川遊佐(@ichikawa_yusa
<アレ★Club>の副代表。各地を転々として育った現東京都民。心の故郷は札幌。

◆永井光暁
<アレ★Club>の事務局長。生まれも育ちも大阪の南部。

 

●市川
昨日のブログ記事、読んだよ。要約するとマイルドヤンキーは目の前にある手に届く範囲のモノを使って最善を尽くしている。しかも最近はイオンやコンビニやユニクロが地方に進出してきた(ファスト風土化)し、Amazonで全国どこでもなんでも買える。だから最近は東京に出る意義が弱くなりつつある。将来は一億総マイルドヤンキー化が起こるかもしれないって話だったね。

 

areclub.hatenablog.com

 

◆永井
そうだね、マイルドヤンキーのことをバカにしたような論調が目立ちやすいネット言論界隈に「それは違うんじゃないか」という視点を投げかけてみたかったんだよね。

 

●市川
主流になっている論調に反論をぶつけるのは意義があると思う。永井さんが好きな弁証法ってわけだ(笑)それに僕自身、永井さんとくらはさんがそういうこと考えてたんだなあって分かって面白かった。でも、僕はアレに異議がある。僕はマイルドヤンキーが「真っ当に生きてる」という話について「待った」をかけたい。さあ、弁証法といこうじゃないか(笑)

 

◆永井
いいよ。じゃあ、マイルドヤンキーが「真っ当」に生きてないとなぜ思ったんだい?

 

●市川
それは、マイルドヤンキーが従事している仕事の多くは中央や大企業とのつながりから湧いてきたものだからさ。昨日の記事ではマイルドヤンキーが従事している仕事の具体例として、土建業や町工場が挙げられていた。これらは霞が関や大手ゼネコンや大手製造メーカーとのつながりがあっての仕事だ。
誤解を招かないように急いで付け加えておくと、僕は「中央や大企業が偉くて、下請け企業はそこから仕事を貰っているだけだ」と言いたいわけではない中央や大企業は下請け企業がないと存続できないし、下請け企業からひどい搾取をしている場合も多いだろう。やっている仕事の内容も違うから単純にどっちの方が能力が高いとかも言えない。
でも、海外とつながっているのは中央や大企業なわけで、彼らが政治的決断をしたり外貨を稼いだりしているから、地方も現状の維持ができているという側面はあるわけだ。

 

◆永井
ああ、つまりマイルドヤンキーは用意された地方という舞台の上で「真っ当」に生きているわけで、その舞台があるのは中央や大企業のおかげだ、って話?

 

●市川
そこまで恩着せがましくはなれないと思うけどね。要は持ちつ持たれつでしょ。中央や大企業だって地方がなければ存続できないのは前に書いた通りなんだから。
ただ、僕はそこで生きているマイルドヤンキーだろうが中央や大企業の人間だろうが、「用意された舞台」に無自覚な人間のことを「真っ当」に生きているって肯定する気にはなれない。それって高度経済成長期に無邪気に「俺は頑張ってるんだ!これは俺たちの勤勉さの証なんだ!」って自己肯定していた頃の日本人と同じじゃない?高度経済成長期が終わってプラザ合意があって冷戦が終わってバブルがはじけて……日本が勝てる追い風が終わって、今の日本は御覧の有様なわけじゃん?まだ先進国と言えるくらいの水準を維持してるとは思いたいけどさ。

 

◆永井
確かに。でもじゃあ、市川君の尺度で言えばどんな生き方が「真っ当」なの?皆用意された舞台で踊るしかないんじゃない?新しい舞台を何もないところから作れるわけじゃないでしょう。

 

●市川
用意された舞台で努力するしかないっていうのはそう。でも用意された舞台に自覚的になって、なるべく自分が立つ舞台がより良くなるように一工夫打つくらいはできると思う。いきなり舞台の大改装!革命だ!ってのは多分うまくいかないけど、今ある舞台にプラス・アルファするくらいならできるんじゃない?

 

◆永井
なるほどね。その話だけど、工夫が上手くいっているケースで言えば、たとえば熊本県の八代地域の名物である塩トマトなんかが挙げれると思う。アレなんかは、通常作物が育ちにくい塩分濃度が高い干拓地という悪条件を活かして、優れたモノを作った好例だと思う。
話を戻すと、つまりマイルドヤンキーも中央や大企業の人も、互いに持ちつ持たれつで仕事をしている。でも、その仕事ができる現状はアタリマエではない。これから状況は良くなるかもしれないし、悪くなるかもしれない。そのことを直視して、状況を良くするためにちょっと一工夫を打つのが『真っ当』な生き方だってことかな?

 

●市川
そう、そういうことです。そして、持ちつ持たれつなんだからマイルドヤンキー的な人も必要だし、中央や大企業の人みたいな人も必要。地方でたくさん子供を生み育てて家族を大切にする人も大事だし、中央や大企業で海外相手にシノギを削る日々を送る人も大事。だから一億人全員がマイルドヤンキーになるってのは、一見したところ楽園っぽく見えるけど成立しない、と僕は思う。

 

◆永井
ああ、それはそうかもしれない。全員マイルドヤンキーでも全員中央や大企業の人でも、この国はすぐにダメになるね。どっちかの生き方がより良いとかいうことはなくて、本当は両方必要だってことか。個人的にはまあ、それでも九割方マイルドヤンキーで良いような気がするけれども……。
ところで、日本が追い風を失って凋落しつつあるという話だけど、日本のインフラの整備レベルはまだ世界トップレベルだとは思わない?これは舞台の工夫とは違うわけ?

 

●市川
ちょっと違うかな。だって、日本のインフラ整備は基本的には「ゴールが決まっている課題を完璧にやり遂せる」っていう、高度経済成長期の思想の延長線上にあるわけだから。ゲームのルール変更に匹敵するような、舞台の大変革にはやっぱり弱い。まだ日本社会のICT競争力は低い状態のままだし、公衆Wi-Fiだって今の普及率だいぶ低くない?この社会の前提がガラッと変わる可能性に対する無防備さは、ちょっと僕の尺度からすると「真っ当」とはかけ離れたものだと言わざるを得ない。

 

action-now.jp

 

 

工夫を凝らすっていう意味では日本の(先端的でない範囲で)至れり尽くせりなインフラにも悪い点はあるんじゃないかな。アメリカの片田舎にしばらく住んでたことがあったんだけど、インフラの整備レベルが低かったりするからか皆「工夫して毎日を乗り越えよう」っていう気風が根付いていたように思う。何をするにも互いに声をかけ合って合意を取って物事を進めるんだ。バスに乗ったらよく運転手さんに「このバスは○○まで行きますか」って聞いたもんだよ。最初は「詳細を知らないのは自分だけで、質問をしてるのも自分だけなんじゃないか」って思って恥ずかしさを感じたけど、皆聞くもんだからすぐに恥ずかしくなくなった(笑)もちろんアメリカは州によって別の国かってくらい環境が違うから一概に「アメリカはこうだ!」って言う気はないけど。

 

◆永井
で、市川君はアメリカに帰りたいのかい?(笑)

 

●市川
絶対イヤだ(笑)グダグダ日本の現状をdisったりもしたけれど、やっぱ日本のいたれりつくせりなインフラの中で暮らしたい。質の高い公共事業を提供してくれる中央・大手ゼネコン・下請け企業の皆さん・職人の皆さんには足を向けて寝られませんね。この便利な日本をこれからも維持・発展できるよう、日々の仕事と工夫に精進して参る所存であります。
具体的にはマイルドヤンキー的な生き方と中央や大企業の人みたいな生き方の両方が、もっと今よりエンパワーしあえるような社会を目指していきたいと思っています。でもその話はまた今度。

 

◆永井
市川君も結局は日本人だったってことで(笑)

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代表の山下泰春「まあ、私たちが真っ当な生き方をしてるかはまた別の話ですけどね!」

 

増補新版 愛の新世界

増補新版 愛の新世界

 

 

ファストとスロー~マイルドヤンキーと都会民から見る地域経済~

★対談者紹介★
◆永井光暁
<アレ★Club>の事務局長。大阪の南部出身。

■堀江くらは(@kuraharu
<アレ★Club>のWeb担当。本職はライター/編集者な人。静岡は伊豆地方出身。東京都在住。

◆永井
この前、卒業してから初めて中学の同窓会が和民であったんですよ。それで、十数年ぶりに会う同級生が多かったんですが、皆ビックリするくらい丸くなってたんですよ。ウチの中学、デキはかなりアレな方だったんで、在学当時はパンチ効いてるヤツばっかだったのに、今じゃ小ザッパリした格好で子供連れて「地元で嫁や子供や仲間と生きていくの最高!」ってマジで言ってる。それを見て、なんか「あぁ、俺ってマイルドヤンキーに囲まれて生きてきたんだなぁ」って思ったんですよね。
 

■くらは
僕も最近、FBで中学時代の同級生から友達申請がきて、チョット驚きました。何に驚いたかって、昔はヤンチャしていた人に子供ができて、やっぱり「地元愛」や「家族愛」みたいなことを叫んでいたことです。昔はそんなこと一言も言わなかったのに……って(笑)
 

◆永井
それ、ほぼ同じ経験をしました(笑)簡単に言えば、『ヤンキー経済』って本に出てくるマイルドヤンキーそのものなんですよね。でも、実際に話してみたら分かるんですが、彼ら彼女らはメチャクチャ真っ当に生きている。ちゃんと仕事して、この少子化の中キチンと子供を産んで育てて……安倍内閣が言っている「一億総活躍社会」の実現に一番貢献しているのって、実はマイルドヤンキーなのかもしれません。

■くらは
というか、マイルドヤンキーという言葉自体がなんとなく都市が地方を見下している気がするんですよね。マイルドヤンキーのWikiにある上昇志向がない・低学歴低収入・イオンが聖地みたいな部分は、地方とそこに住む人を馬鹿にしているようにしか見えない。
別にいいじゃないですか。低学歴でも、低収入でも、「人間関係」っていう自分の居場所を見つけて頑張ってる。ただの都市による価値観の押し付けですよね。
 

◆永井
それは分かります。多分ですけど、マイルドヤンキーをバカにする人たちは、大体が高学歴・高収入、あるいはそうでなくても上昇志向な人だと思うんですけど、それって言い換えれば、文化資本で田舎者を殴っている、とも言える気がします。
まぁ、しっかりと根を張って地元で暮らしている地方の人と、見栄張ってヒィヒィ言いながら生きている地方出身の都会に住んでいる人、はたしてどっちの方がいわゆる「田舎者」なのかはアヤシイところですけどね……。
 

■くらは
確かにそうですね(笑)「東京は田舎者の集まり」って言いますし。でも実際問題、マイルドヤンキーは子供を産んで少子化対策に貢献しているし、地域経済にも貢献してる。低学歴・低収入ってだけで見下すのはどうかと思いますね。
 

◆永井
一理あると思います。まぁ、そもそも「ヤンキー」という言葉自体が蔑称と言えば蔑称ですけどね。
ところで、よく「マイルドヤンキーってどんな仕事してるんだ?」って疑問を耳にしますが、おそらく現在は土建業や物流業、あるいは町工場とかが中心じゃないですかね。
農業や小売業が苦しくなっていく中で、土建業や物流業の人たちの中にもマイルドヤンキーが増えていったんだと思います。あの業界の人たちはアチコチに行くけど、拠点はしっかりとしているので、別に単身赴任みたいな形で出稼ぎに行く必要はない。でも稼ぎはちゃんとあるから、それを元手に地元で車を買ったり、家を建てたりする。その結果、ちゃんと地元に根付くワケです。

 
■くらは
今後彼ら彼女らは介護の担い手にもなっていくのでしょうね。あと、マイルドヤンキーって言葉の中に、「都会の中の地方民」も含まれていることを忘れちゃダメですよね。彼ら彼女らは上記の職業だけでなく、企業に勤めて営業や事務職に就いている。東京だけでなく、地方都市に住んでいる人はそうです。
 

◆永井
ってか、そもそもなんでこのワードが注目されるようになったんですかね?
 

■くらは
これは僕の推測ですが、以前からマイルドヤンキー的な人はいたが注目されなかっただけなんだと思います。それが経済界で注目されるくらい大きくなった。
昔は東京を目指す若者がいて、一部の若者だけが地元に残っていたのではないでしょうか。その時代に東京へ出た人たちは、東京という場所に夢を見ていましたし、何より東京にしか手に入らないものがたくさんあった。
でも、現代ではそんなことはない。東京に関する情報はインターネットを通して手に入るし、物だってアマゾンで買える。地元に進出してきたコンビニやイオン、ユニクロなどのおかげで、都市でしかできなかった経験が地方でもある程度できるようにもなった。その結果、都会を目指す人が少なくなって、地元に留まる人が増えたではないでしょうか。そこに経済界が注目してそういう人たちを「マイルドヤンキー」という言葉で紹介し、都会の人間がある種好奇の目で彼ら彼女らを見た結果、この言葉が注目されたのだと思います。
 

◆永井
なるほど。もしかすると、マイルドヤンキーに関する言説は、ゼロ年代の初めに登場した「ファスト風土」みたいな概念と地続きにあるのかもしれませんね。要するに、日本中が郊外化して、何処にでもイオンができたから、わざわざ都会に出て買い物をする必要がなくなった。で、都会に出ないマイルドヤンキーは、ファスト風土化の恩恵をモロに受けている、と。
 

■くらは
その通りだと思います。地方に住んでいる人は、イオンやユニクロ。僕の出身地の静岡なら109もありますが、そういう場所で東京を疑似体験しているのではないでしょうか。
一方で都会はロハスやエコなど、スローライフ的なものを求めて地方に進出していますよね。都会と地方、どちらに住む人も自分の住む場所とは異なる価値観を求めて遊びに出かけますが、その根底にあるのは日本中が郊外化しているってことなのかもしれません。
 

◆永井
そこが面白いですよね。実際にショッピングモールなどは現在日本のアチコチにあるけど、都会の人と地方の人でそこに行く意味合いは異なっていると思います。
それで思い出したのですが、商業施設の店舗にテナントを誘致して出店することを「テナントリーシング」と言うのですが、立地や地域によってこのテナントリーシングが大きく影響しているのではないかなと最近考えています。たとえば、都会のショッピングモールだと地方の名店などを多めに入れていますが、地方のショッピングモールは東京にある有名なお店を入れて「●●県初出店!」みたいな感じでウリにしています。なので、ハコは同じ、つまり何処にあってもイオンはイオンだけど、その中身は立地によって異なってくる、というワケです。
 

■くらは
地方には東京の、東京には地方のアンテナショップがイオン内に存在しているということですね。
最近、東京では地方のものを集めた百貨店がすごく増えてる。一方で地元の百貨店は、東京の有名ブランドを集めている。言うならば、地方は東京を、東京は地方を求めながら一切外には出る必要はない、って状況ができあがってるわけですね。
 

◆永井
ですね。ってか、そう考えると、外に出ないのはマイルドヤンキーに限った話ではなく、今の日本はどこもかしこも外に出る必要が減っているのかもしれませんね。少なくとも、モノに関しては都会と地方の差は埋まりつつある。ただ、イベントとかについてはまだまだ都会と地方で差があると思います。全国規模のイベントは大体が都会で行なわれますしね。とはいえ、文学フリマの百都市構想みたいに、一つのイベントを複数の地域で展開していくというやり方もありますから、イベントのありようも今後変わってくるかもしれませんね。
 

■堀江
正直、「マイルドヤンキーを馬鹿にするな!」 って話からここまで面白い話ができると思っていませんでした(笑)
こうやってみると、「一億総マイルドヤンキー化」みたいなことが始まっているのかもしれませんね。
 

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代表の山下泰春「いわゆる知識人にもヤンキーみたいなヤツ多いけどな!!」

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