同人サークル<アレ★Club>公式ブログ(通称:「アレ★Blog」)

ジャンル不定カルチャー誌『アレ』を作っている<アレ★Club>の日々の活動記録です。

ギャップと印象~ダメ男とバンドマンの彼女ができるまで~

★対談者紹介★
◆永井光暁
<アレ★Club>の事務局長。趣味は料理。「外見が怖い」とよく言われる系男子。

▲山下泰春(@yasuharu_are
<アレ★Club>の代表。趣味は登山だが足腰が弱い。コンクリートが嫌い。

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◆永井
俺さ、人に好きな音楽とか小説とかのことを話すのが結構怖いんだよね。

▲山下
それまた何故ですか?

◆永井
うーん、個人的な話なんだけど、俺って趣味の話をするとよく「意外ですね」って言われるんだよ。で、その「意外」って、要は外見とか普段の思考・行動と趣味の間にギャップがあるってことじゃん。なんか、自分の知らない自分を人に見せるみたいな感じがして、割と勇気がいる。

▲山下
なるほど。僕の場合、見た目がチャラチャラしてるので、少し固いことを話したり、礼儀正しい振る舞いをしたりするとすごく驚かれますね。そういう経験が結構多いので、今では意図的にそう振舞ったりしてます。なんていうか、そういうギャップの積み重ねで、自分像っていうのが見えてきたりとかしませんか。

◆永井
あぁ、普段はヤンチャしているヤンキーが捨て猫とか拾っているのを見るとキュンってしちゃうみたいな?(笑)あるかもねぇ。確かに、ギャップを自覚して、そうして初めて他者から見えている自分や、自分がまだ気付いていない自分を見つけることができるかもしれないね。

▲山下
ギャップを意図的に利用することでうまくいく人間関係もあると思います。ギャップってのは、印象を決定するくらい大きな要素なので。そのギャップがプラスに働くかマイナスに働くかはともかくとして、ギャップが大きければ大きいほど、相手が抱く自分への印象は強くなる
こういう点を踏まえると、あとはいかに印象をプラスの方に持っていくかを考えるべきなんですけど……。

◆永井
つまり、自分が最初に与えた印象がマイナスであるなら、プラスになるようなギャップを与えればいい。反対に、自分が最初に与える印象がプラスのものなら、あえてマイナスをかけることで、全体的に中庸に落ち着かせられる、ということね。
そう考えると結局、ギャップがあれば全体として揺れ動いた印象の幅が増幅されることになる。結果的に、すごく印象に残る人間になるってワケだね。

▲山下
そうそう。「印象」って、数値化して考えられると思うんですよ。ただし、プラスとマイナス、どちらか一方に偏り過ぎちゃダメ。ともすると、完璧人間か、あるいはとんでもないクズ野郎と見なされるハメになる。

◆永井
うーん、それって恋愛とかでも同じことが言えるような気がする。ほら、男女問わずたまにいるじゃん。完璧に振舞おうとして失敗して、でもその失敗を受け入れてくれる人に激惚れして半ば中毒状態になっちゃうような人が。あれは、言い換えれば他者に見せたくない自分を見せてしまった、ってことなんだろうけど、失敗を許容してもらった結果、「こういう自分でもいいんだ」って思ってしまって、そういう自分を過度に肯定してしまってると思うのよね。

▲山下
「過度に肯定」って、たとえばどういうことですか?

◆永井
たとえば、働かないでウジウジしているけど、転売とかで金を持っているニートが、キャバクラにハマるみたいなモンだよ。キャバ嬢はなんでも肯定してくれて「働いてなくてもお金あるからいいじゃん!」とか「ネットで稼げるなんてすごい!」って言ってくれるから、こんな自分でもいいんだと勘違いしちゃう、みたいな。

▲山下
分かりやすい(笑)恋愛どころか、僕はあらゆるものはギャップで説明できると思います。友人関係や芸能人のイメージだけじゃなく、企業とか世の中で起きている事件などでも、別の一面を見せられると評価が変わりますよね。
その話は置いといて、「恋愛の駆け引き」ってあんまり好きな言葉じゃないですけど、「失敗する自分をいかにうまく演出するか」は、恋愛の中でも重要な問題じゃないですか。
結局、何でもできるっていう意味での完璧な人はいないし、もし万が一いたとしても、その何でもできる完璧さがむしろ欠点になるので、うまいこと失敗を織り交ぜられる、全体としてちょうどいいみたいな人が、一番いいポジションにいると思います。

◆永井
全体としてちょうどいい、ねぇ。なんか、言ってることは理解できるんだけど、なんとも都合がいいような印象がするなあ。結局、失敗をうまく使って恋愛しているのって、バンドマンみたいな人種が多い気がする。お金もないし浮気もするけど夢に向かって真っすぐ進んでいるっていう印象とギャップで、女の子をひっかけているみたいな……。
それに、「何事もほどほどが大事」みたいな、ありがちな響きがしないでもない。

▲山下
バンドマンはそういうイメージが強いだけですよ(笑)現実には、ギャップから始まる恋は多いと思います。その大半はギャップを使おうとは考えていなくて、無自覚に強い印象を与えているとは思います。実際、職場で厳しいけど飲み会だと凄く気が利く人ってモテそうですよね。
あと、最初から「ほどほどに」動いている人間にギャップを生み出すのは難しくないですか?プラスにもマイナスにもならないよう、慎重に動いている人は、まず相手にイメージを抱かせることから始めないとギャップも生まれないので。

◆永井
確かにね。確かに俗に言う「キョロ充」みたいな人はプラス・マイナスどっちのイメージも抱かないから、ギャップは生まれないなぁ。
つまり、なるべく印象に残りたくないようにするには、プラスにもマイナスにもならないよう振る舞えばいいワケね(笑)

▲山下
そうそう!そういう時は「沈黙は金」ですよ!

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屁理屈談義(3)暴力が論理を決める(哲学ジャンキー編)

こんにちは、<アレ★Club>副代表の市川遊佐です。先日、代表の山下泰春君と「屁理屈とは何か」について話しましたが、その時の結論は、論理の体系というのは「そうとしか考えられない枠組み的な感覚」に支えられたものである、というものでした。

 

areclub.hatenablog.com

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そこから我々は、感覚に基づいているのなら、論理の体系は複数通りありうるのではないかという可能性に思い至りました。

 

★対談者紹介★

市川遊佐
<アレ★Club>の副代表。フランス現代思想を趣味でかじってた。でも好きな本は『死に至る病』で本職は理系。

▲山下泰春
<アレ★Club>の代表。ドイツ観念論(カントとかヘーゲル)とか読んでた。最近はメディアとか文学に浮気しがち。なんかアカい。

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市川遊佐(以下:市川)
……ああ、論理と自然とを切り分ける必要があるのか。

 

▲山下泰春(以下:山下)
どうしたんです突然?

 

市川
いや、哲学的にひらめいたんだよ。普通、僕たちは「論理的に正しい推論は自然界で実際に起こりうること」だと考えてる。それどころか、論理の本質を「自然界で通用する推論か否か」だと思ってる人も多いと思う。つまり、論理的に考えればちゃんと現実に迫れると思っているわけ。でも、この間の僕たちの「論理の体系はそうとしか考えられない感覚に基づいたものだ」という考えに基づけば、全く違う論理とその体系の姿が見えてくる。

 

▲山下
と言いますと?

 

●市川
実は、ある論理の体系において「正しい」ことは自然界でそれが「機能する」こととは関係がないんじゃないかな。論理的に正しいか否かは、その論理体系を使う人が「そうとしか考えられないか否か」だけで決まる。そして、それは自然界、つまり現実それ自体とは関係のないことなんだ。

 

▲山下
現実それ自体、というのはカントの言う「物自体」ですよね。つまり、アプリオリ(先験的)であるか否かは「そうとしか考えられない」か否かに依るのであって、物自体がどうだということには関係がない、と。よりアプリオリという言葉の文字通りの意味に近いですね。
カント的に「論理を通してしか人は世界を考えられない」という考えを踏まえると、自然界の記述は各論理体系それぞれの枠組みで行われるので、論理が複数ありうるならば自然界は各論理体系ごとに多様に認識されるということになりますね。つまり、論理体系の数だけ現象(世界の見え方)があるってことですかね。

 

市川
そう、そういうことを思い付いたんです。論理は各人の思考の限界に他ならないのではないか、ということです。そしてその限界は人によって違う。養老孟司の『バカの壁』みたいな話なんじゃないか。各人それぞれに壁があって、その壁の外は見えないのです。そしてその壁の外について説明されても理解できないようになってるんじゃないだろうか。

 

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▲山下
ありうる説だと思いますよ。

話を進めると、各論理体系が各人の考える世界の枠組みになっているなら、各論理体系それ自身からは「機能しない」論理って現れないのかもしれませんね。つまり、自分の論理で考えたモノは、自分の論理の中ではボロがでない。というわけで、機能しない論理は常によその論理体系の産物でしかありえない。おかしな話を持ってくるのは常に他人で、自分はいつも正しく見えると。
でも、それでも論理体系として「苦しい」「苦しくない」っていう程度の差は観測できますよね?たとえば天動説も座標変換を頑張れば「機能する」けれども、規則が増えたり数式がややこしくなって「苦しい」という感じで。

 

市川
そう、だから論理はいろいろあるけど、それでも「苦しい」論理、「苦しくない」論理はある。そこでいう「苦しい」「苦しくない」っていうのは、自然界を記述する道具としての「苦しい」「苦しくない」なんだよね。で、やっぱり「その論理体系の中での正しい/正しくないの区分が、自然界での機能する/機能しないの区分ととてもラクによく合う」という、我々の普段のイメージ通りの論理はありうる

 

▲山下
論理それ自体は自然界とは関係ないんだけど、それでも論理というのは自然界に適応するための道具としての役割を期待されているのではないかという話ですね。どういう欲望が背後で働いているのかとかの話は、これは生物学的な話になってくるのかもしれない。

 

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道具としての出来不出来を複数の論理が互いに競い合うという状況になると、こないだ僕が言った説得の話とかにも関わってきますね。もしかしたら、大昔にいろんな論理体系をいろんな人が主張する中で権力闘争が起こって、そこで権力に辿りつけた論理体系が唯一の「正しい」論理体系として広まって今に至るのかもしれない。
ソクラテスが殺されたのも案外この文脈で理解するべきだったりして。プロタゴラスが「人間は万物の尺度である」っていう、平たく言えば「何事も人それぞれだよね」っていう話をしていたところに、唯一の真実を求めるようなソクラテス&プラトン的な動きが起こって、その政治的な危険性が危惧されてソクラテスは死刑になったんじゃないか、と。そしてそれ以降の哲学の歴史とはプラトン的な独裁主義の下に動いてきたんじゃないでしょうか。

 

市川
あー、ありそう。ってかそうなんじゃないかな。まあ、証拠はないけども。民主主義が現在死につつあるとか言われている流れとも繋がるかもしれないね。
論理が今のような受け入れられ方をするに至った経緯がそうだとすると、その権力の掌握には暴力も使われていたはずで、その中には暴力が無理のある論理を押し付けたこともあるだろうけど、多くの場合は論理が技術として具現化して暴力になったことで権力に繋がったんじゃないだろうか。つまり、工学と権力の結婚が多様な論理体系の中から唯一の論理体系を選び取った。

 

▲山下
社会と技術が論理学に先立つ、なんていうとさらに掘り下げられそうですね。まあでも、流石に長くなり過ぎた感もあるので、これもまたそのうち……。

カント入門 (ちくま新書)

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マンガは哲学する (岩波現代文庫)

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【恋愛から考えよう】恋は人を成長させる?させない?~自分のパラメーターに気づくこと/モテないやつはお見合いしよう~

時として人生の存在意義になる「恋愛」から世の中を見ていく、対談企画【恋愛から考えよう】第1回。
今回は、世間でよく言われる「恋愛は人を成長させる」という言葉から、恋愛における成長とは何か、そもそも恋愛で成長できるのかについて考えていく。

 

★対談者紹介★
●市川遊佐(@ichikawa_yusa
<アレ★Club>の副代表。「愛しているのはお前だけ」とこれまでに5人には言った。最近は「男の方がいい」と言い出す始末。

 ■堀江くらは(@kuraharu
<アレ★Club>のライター/編集者の人。恋愛コラムの依頼は一度も来ないが、本人曰く「マレーシアならモテる」とのこと。つまり顔が濃い。

 

●市川遊佐(以下:市川)
就活戦線とかで「サークルに入ってなかったらダメ」とか「彼女がいたことのないヤツはダメ」とか言われる……という話があるよね。実際そう思ってる人事もそう思ってない人事もいるとは思うけど。ともあれ、世の中にはそれに対して「そうだそうだ」という意見もあれば「そんな馬鹿なことがあるか」という意見もある。これについて、僕は「サークルや恋愛を通じないと経験しにくい類の成長」があると思ってるんです。

 

■堀江くらは(以下:くらは)
それって、たとえば「恋愛で思いやりのない人間が思いやりを学ぶ」とか?恋愛で成長するようなヤツは友人関係で成長できないだけじゃないの?今NAVERのまとめを見たけども(http://matome.naver.jp/odai/2140772609235590401)、皆が「恋愛で学べる」とか言ってるのって「思いやりが持てる!」とか「自分の悪い部分を指摘してもらえる!」とかでしょ。他には「同性にはない価値観を得られる」とか言ってる。でも、それって友人でいいじゃん。恋愛で成長するヤツって、まともな友達いないんじゃないの?

 

●市川
ああ、世間ではそういう意見が多いのか。確かにそういうのは「友人でやれ」感があるなあ。でも、恋愛関係の方が友人関係よりも「ギリギリの選択」を迫られることは多くない?俺はアレが重要だと思うんだよ。どっちもパッと見はとても重要なんだけど、どっちかを選ばなければならないって状況が。たとえば、仕事帰りに死ぬほどヘトヘトで帰ってきてLINEに彼女からのかまってメッセが来てる時にどうするかっていう状況みたいな。

 

■くらは
それはあるねえ。僕、そういうヘビーなコストを要求されるのが嫌いなんだよね。こういう言い方をするとヒンシュクを買うかもしれないけど、正直恋愛は費用対効果が悪いって感じる。童貞臭い意見だけど、それでも結構多くの女の子と付き合ってきてそういう結論に至りつつある。

 

●市川
こういう時に「死ぬほど疲れてる時にかまってあげないといけないくらいなら、別れた方がいいかな」って人もいれば「それでもかまってあげたいんだ!」って燃える人もいると思う。ここで人間は「自分が何者か」が分かると思うんだ。で、くらは君は前者だったってことだよね。まあ、僕もそうなんですけど……。でも、同時に女の子の側でも「それでもかまってもらいたい!」って人もいれば「死ぬほど疲れてるなら休ませてあげるか」って人もいると思う。女の子の側でもギリギリの選択が起こってるんじゃないかな。

 

■くらは
あー、前者みたいなタイプは……たとえばいいコンサルとかにはなれないよね。コンサルって世間では割と悪く言われることも多いけど、本当にいいコンサルはすごく親身に真面目にクライアントの抱えている問題に寄り添って考えられるもんね。ホントにデキる人って、後者みたいな信じられないようなレベルの、僕にはちょっとできないような優しさで動くよね……ウチ(アレ★Club)の永井(光暁)さんとか。

 

career.mods.jp

 

●市川
彼はねえ、ホント頭が下がる……。話題を戻すと、そこで自分の正体が分かるわけですよ。そうすると何が起こるかというと、それまで「羨ましいな」とか「できたらいいな」と漠然と思っていたことが、どうでもよくなる。「これは、僕にとっては実は一番重要なことじゃないんだ」と悟ることができる。これが成長だと思うんですね。よく就活で「自己分析が大事!」とか言われるけど、そこで言われてるのってこういうことだと思う。人には「体質的にできないこと」って案外、普段意識できてないだけでいっぱいあると思うんですよ。仕事もギリギリの状況に追い込まれるモノなので、始める前に「自分には何が耐えられて何が耐えられない」のか分かっていてほしい、ってことだと思う。人によっては愛想良くするのがどうしても無理だったりするし、人によっては数字を扱うのがどうしても無理だったりする。そういう各人各様の「無理」に恋愛という土壇場で気付かされる。

 

■くらは
それって、世間では「他の価値観に気付かされる」って言葉でまとめられてるやつなんじゃない?

 

●市川
いや、世間で「他の価値観に気付かされる」って言ってるのとは違う。僕が言ってるのは「自分の価値観に気付かされる」ってことなんだ。大切にしたい人がいて、でも他にも大切にしたいモノがいっぱいあった時に、それまでなんとなく「両立できるだろう」って思ってたことなのに、「どっちか選ばないといけない」時が来る。そこで、それまで見えてなかった自分自身に気付かされる。

 

■くらは
なるほどね。友人に比べて恋人は維持コストが高いからこそ、ギリギリの状況が生まれて自分の価値観が見えてくる、と。なんとなく分かった気がする。

 

●市川
……まあ、そういう言い方になるよね、この経済サイコパスめ。(笑)で、自分の価値観が分かると、自分にとって「重要なこと」と「もっと重要なこと」の区別がハッキリできるようになるので、自分はどう生きたいのか決然と決められるようになる。なんとなく選択してから「ああしておけばよかったー」とか不平を言う可能性が減るワケです。「少なくともあの時見えていたモノで判断すれば、人生を何度やり直しても同じ選択をするだろう」と言える確率が上がる。

 

■くらは
「維持コスト」とか言っちゃうのは経済学じゃなくてボードゲームのせいだよ。(笑)ボドゲサイコパスって呼んで!それはいいとして、じゃあそもそも恋愛で成長することは可能だと気付いたとして、それに気付いた人って恋愛に成長を求めるようになるのかな?それはなんか違くない?恋愛って、心の安定や癒やしを求めてするもので、もし互いに対立することがあったとしても、それは将来の安定した家庭のために必要なものなんじゃないかなぁ。

 

●市川
「成長したさ」で恋愛するのは違うだろうな。だってそれはただのエゴだもん。癒やしや安定が欲しくて、ってのもエゴを感じるから、それを恋愛と言えるかは怪しいと僕は思う。まあ最初は下心から始まることもあるだろうけど、相手のためになりたいと思えるような関係が恋愛じゃないのかなあと僕は思うので。その結果として安定や癒やしが降ってくる。

 

■くらは
ところで、こういう話で盛り上がれるのは今まで恋人がいたことがある人だけだと思うんですよ。今まで恋人ができなかった人にとってはどうでもいい話なわけで(恋愛成長しないでググルと『なぜ成長できないか?』という記事が出てくる)。じゃあ、恋人ができない人は失敗し続ける恋愛から何を学べばいいんだろう?

 

●市川
えっ、そうなの?(言われた通りにググって)うわあ、どうもそうっぽいね……知らなかった。一応、どんな人でも恋人ができる方法はあると俺は確信してるんだけどね。「身ぎれいにする」とかそういうモテる奴同士の間でしか細かいニュアンスが伝わらないような、モテない人からすると意味不明な説教とかでは無しに。マルコフ連鎖モンテカルロ法ってヤツで……って、この話難しいかな。

 

■くらは
MCMC法ですね。簡単に説明しちゃいましょうか。要するに「毎回条件を変えて試行回数を稼ぎ、良かった点・悪かった点をメモしていくことで良い点を増やし、悪い点を減らす」というやり方ですよね。シミュレーションゲームとかボドゲでよく使うヤツ。

 

●市川
そう、そういうこと。でも、このやり方にも向き不向きがあって、たまたまの成功体験にすごく引っ張られちゃって上手くスコアリングできない人とか……そもそも、恋人ができない人って自分を変えたくない、頑固な人が多いじゃない。まあそういう人は、そもそもこの方法が出来ないので、その試行錯誤できない自分ってのが「自分の正体」だと思うんで……うーん、やっぱり諦めてもらうしかないのかなあ。

 

■くらは
恋人ができない人は、自分が恋愛市場に向いてないことを学んで、お見合いをすればいいと思います。さっき市川さんが挙げたような頑固な人って、良く言えば真面目なことが多いと思うんで、お見合い市場だと有利な位置に立てることもあると思う。

 

●市川
今「お見合い」って言うと街コンみたいなものがあるけど、あれってアッパー系なノリみたいじゃん?そもそも街コンに行ける人はある程度行動力がある人ですよね。でも、そういうコミュ力的なのと距離を置いた、古き良きお見合い文化にも需要はあると思うんです。需要があるなら市場が成立しうるハズなんで……そうしたwebサービスがさらに普及して広く社会に受け入れられるようになればいいなと思います。それに、マッチングアルゴリズムとかも発達してきてるだろうし、十分ありうる未来だと思いますよ。碁や将棋で人工知能が最高峰のプロに勝つ時代だし、「人工知能を使った方が自分の経験で選ぶよりも相性のイイ人と出会える!」というのが常識になる日も近いんじゃないでしょうか。

 

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▲モテない<アレ★Club>代表の山下泰春
この話だと恋人いるけど親密になれない「恋愛キョロ充」は一生成長できないな!!

 

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【ゲームから考えよう】『スプラトゥーン』は1人でも勝てます~上級者の考え方・マッチングとリーダー像~

ゲームを普段とは違う角度で考察し、対談する企画【ゲームから考えよう】第1回。

チーム同士の対戦ゲームに必ず存在する「負けたら味方のせいにする奴」。
自分のせいにされてイライラした経験がある人は少なくないだろう。
もしかしたら、
読者の中にも味方のせいにしている人がいるかもしれない。
今回はそんな「負けたら味方のせいにする奴」から話を広げていく。

 

★対談者紹介★
■堀江くらは(@kuraharu
<アレ★Club>所属の本業はライター・編集者の人。ヘビーゲーマーでゲーム関連の仕事もしている。最近はe-sportsに熱中。

▲山下泰春(@yasuharu_are
<アレ★Club>代表。『スプラトゥーン』でS+ドヤ顔マン。

 

■くらは
山下君が書いた『スプラトゥーン』論で、「このゲームは1人で勝てる」と言っておきながら、負けると「味方のせい」って喚く人の話が出ていたよね。あれ、すごく的を射ていた。ゲームの下手なプレイヤーのことをスラングで「NOOB(ヌーブ)」って言うんだけど、NOOBの大半が「勝ったのは自分のお陰、負けるのは下手な味方のせい」って言うんだ。どんなゲームでもそれは変わらない。
でも、1つ気になることがあった。

 

▲山下
気になることって?

 

■くらは
「このゲームは1人で勝てる」っていうのは大体のゲームで正しい。少なくとも、「自分1人でも勝ってやる」というメンタリティでプレイしてない人は上手くならない山下君は『スプラトゥーン』の記事を書いてたから、『スプラ』で説明するね。まず、『スプラトゥーン』って何vs何のゲーム?

 

▲山下
4vs4ですね。

 

■くらは
パッと見はそうだね。でも、真のゲーマーは「1vs7のゲーム」って考えるんだよ。『World of Tanks』は1vs29(脚注1)、『LEAGUE of LEGENDS』は1vs9のゲームって考える。チームでプレイしていない限り、味方はプレイが始まるまで面子が決まらないから強さも分からない。味方になった奴が足を引っ張る可能性もあるから、勝つためには味方も敵と思った方がいい「このゲームは1人で勝てる」ってのはそういうことなんだ。実際、『スプラ』でも『WoT』でも『LoL』でも、強い人ってその時その時でやるべき仕事を見極めてそれを1人でやっちゃったりするでしょ?

 

▲山下
確かに、上手いプレイヤーが下手な人の中に混じったら、明らかに試合展開が一方的になりますね。ウデマエが2ランクも変われば、ほぼ確実に一方的になる。ただ、全員が上手いプレイヤー同士だとそうはいかないんじゃない?

 

■くらは
いや、上手いプレイヤーだけのマッチングでも変わらないよ。むしろ上手いプレイヤーは「味方をどう使うか」を知ってるあいつがこう動くからカバーしよう、とかね。だから上級者同士の試合だと、1番上手いプレイヤーが、他のプレイヤーの動きからその時やるべき最善手を察知して、「1人で連携をとる」とでも言うべきようなプレイをして、チームを勝利へ導くんだよ。

 

▲山下
言われてみれば確かに。S+はキルレートよりもゲームメイクの重要性を理解している人が多いリザルトだけ見るとキルレートはそこそこいいんだけど、私のたった1回だけのデスが、試合展開を大きく変えたっていうことは思い返せば意外とありましたね。特に私の使うブキは、キルを取ることよりも圧倒的にデスしないことの方が重要なので。1回のデスがそのまま敗北に繋がることは普通に考えられる事態ですね。

 

■くらは
どのレベルの戦場でも、上手いプレイヤーは、ゲーム中にリーダーになり、指示を出して引っ張っていくことが多い。チャットがあるゲームだと顕著だね。良いリーダーがいるチームは必然的に有利に試合を運べる。これは現実世界での立ち回りでも同じだ。
その一方で、悪いリーダーというのも存在する。冒頭で言った「味方に文句を言う奴」だね。この手のタイプは声が大きいからリーダーになりやすい。でも、指示らしい指示は出さずに悪口しか言わない。こういう人がリーダーになったチームは不利だ。

 

▲山下
ランダムに組まれたチームで共同作業をするとき、誰がリーダーになるかが重要なのは現実と一緒ですね。

 

■くらは
その通りだね。そこで重要なのが「ランダム」の部分。メンバーがどう選ばれるかでリーダーの動きが変わる
レーティングシステムがしっかりしてるゲームの場合は、ちゃんと誰が上手くて誰が下手かゲーム側が認識できているので上手い人は上手い人としか当たらない。上手い人同士のチームならリーダーが詳しく指示を出すことで他のチームメンバーと綿密な連携がとれる。上手い人同士が綿密に連携できるチームは、一個の緻密な生き物のように状況を制圧できる。
逆にマッチングシステムが機能してない・存在しないゲームの場合、下手なプレイヤーと同じチームになる可能性がある。下手な人と一緒になってしまった時は、一人で敵を倒しまくりつつ、他のメンバーには適度に指示を出す程度の方が勝ちやすい。詳しい指示を出してもその意味を正しく理解できるか、指示のとおりに動ける操作技術があるか分からないからね。

 

▲山下
自分がリーダーだとして、自分より実力がない人だらけのチームが組まれたら、自分はガンガン敵を攻めつつ周りには周りがついてこれる程度の指示を出して誘導していけばいい。同じレベルの集まりだったらみんなで相談しながらことを進めて、皆ができない部分を、一番仕事を理解している自分がカバーするってことですね。

 

■くらは
そう、そんな感じ。

 

▲山下
難しいのは、『スプラトゥーン』というゲームは『WoT』とかと違って、チャットで指示するということができないというところですね。「ナイス!」と「カモン!」という2つの反応/指示しか味方に対して行なえないように設計されているから、指示された側が積極的に意味を汲み取っていくしかない。

 

■くらは
細かい指示が出せないから、良いリーダーと悪いリーダーの区別がつきにくいかもね。せっかく指示したとしても、具体的には何を指示しているのかは指示された側が読み取らないといけない

 

▲山下
ルールにもよるけど、そう考えると『スプラトゥーン』は初心者に非常に優しい作りになってる。「ナワバリバトル」というルールは、塗っていれば勝てるルールだから、わざわざリーダーが細かく指示してゲームメイクしていく必要性が低い。逆に「ガチマッチ」というルールだと、うまくキルを取りながら勝利条件を満たす必要があるから、細かい指示が出せない事態はリーダーとしては歯がゆいものがあるかもしれない。

 

■くらは
『LoL』みたいにレーティングシステムがしっかりしてるゲームの場合は、上位戦場(注2)と下位戦場で勝ち方が全く違う。プロの配信を見てみると、下位(遊びのサブアカ配信)では一人でキルを稼いでいるけど、上位では味方との連携を重視している(注3)。

 

▲山下
『スプラ』もそっち側なんですか?

 

■くらは
いや、『スプラトゥーン』はちょっと違うと思う。あのゲーム、どうもマッチングシステムに難がある。公式で人口分布が出されていないからはっきりしたことは言えないけれど、聞いた話だとS(上から2番目)が一番多い可能性があるんでしょ? 普通のゲームだとこれは異常なんだよね。だから結構カオスな戦場がどこでも繰り広げられていて、「1人で勝つ」の難易度が高い気がする。マッチングシステムが機能してない・そもそもないゲームはどれもそうだね(注4)。

 

参考:『スプラトゥーン』のウデマエ分布のシュミレート

nandroid.xilab.org

 

▲山下
今、『スプラ』の人口分布の話が出たけれど、他のゲームの人口分布ってどうなっているんですか?

 

■くらは
普通のゲームの人口分布は、ゲームの求めている平均より下が多くなりやすいね。ポケモンだと1400台が一番多い(XY時代の統計)。1500がスタート地点だからそれより下だね。『LoL』は下から数えて1番目と2番目のブロシル(ブロンズ・シルバー)と言われている人たちが一番多い。彼らも一般的・Riot的にも平均以下のプレイヤーだね。ゲームが求めている平均値=スタート地点って考えてくれればいい。

 

▲山下
『スプラ』の話で置き換えると、Sになってからがスタートということになるんですかね……?なんだか、腑に落ちるような落ちないような……(笑)

 

■くらは
いや、任天堂は多分Bあたりを平均に持ってきたいんじゃないかな。『スプラトゥーン』はマッチングシステム自体がうまくいってないんだよ。マッチングシステムやゲームシステムの中心をどこにおいて、どう動かすのかってすごく難しいから、プレイヤーと対話しながら調整していくしかないんだよね。e-sportsとかが流行ってくれば、対戦ゲームも多くなってくるからそこら辺がどんどん重要になってくる

 

▲山下
でも、マッチングシステムが機能したからといって「1vs7」、「『スプラ』は1人でも勝てます」っていうのは変わらないんですよね(笑)

 

■くらは
そうだね(笑)競技シーンでもない限り、『スプラトゥーン』は1人でも勝てます!

 

---------------------余談---------------------------

■くらは
マッチングシステムのところで、多くのプレイヤーはゲームの求める平均より下にいるって話をしたよね。実はこれ、現実でも同じことが言える。

 

▲山下
と、言いますと?

 

■くらは
例えば、年収は300万円以下の層が最も多い。一般的な年収を400万って考えている人が多いのにね。パートタイマーの主婦やアルバイトをしている学生を考えれば当たり前といえば当たり前だよね。
パレートの法則というものがある。超簡単に説明すると、全体の8割を、2割の人が持っていくという法則だ。これを考えると、下のほうに人が集まるのも分かる気がするね。もちろん、残りの2割を奪っている人たちがどう分布するかわからないから必ずしも正しいとはいえないけどね。
こういうところも、ゲームと現実がリンクしていてすごく面白い。

 

▲山下
ここでいう主婦やアルバイター大学生は、ゲームで言うエンジョイ勢に値するんでしょうね。確かに、こうやって現実とゲームをリンクさせていくのは面白いかも。

 

■くらは
お金の話で例えるなら「国はビル・ゲイツ1人で建ちます!」みたいな感じかな?

 

amiibo ガール(スプラトゥーンシリーズ)

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ゲームを極める100の知恵(月刊スパ帝国Vol.23)

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 スパ帝の本はボードゲーム・シミュレーションだけでなく、様々なゲームで役に立つと思う。

 

 ゲームやるならレッドブル!

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脚注(ゲームオタク向けの)

1 『WoT』のゲームシステムはTierシステムのせいで1vs29にならない時がある。個人的にムカつくが仕方がないだろう。じゃけんとっととTier10行きましょうね~。

 

2.Platから上位・Diaから上位。いや、Masterまで魔境だからとかそういう話はやめておこう。ただ、『LoL』はブロシルが一番多いから、Platから上位と認識しているプレーヤーが多いのではないかとは思う。

 

3.『LoL』プレイヤーが勘違いしないように言っておくが、これはプレイスタイルの話だ。ジャングラーを想像するのが一番早い。もちろんPickも関係してくる。低レートではYiかKindしかピックしないし、Reksaiはただのゴミなのだ。まぁ、詳しく書きすぎるのもアレなので、僕(くらは)の個人ブログにでもいつか書こう。

 

4.上にあげたゲームの中で一番「1人で勝つ」が難しいのは『WoT』だと思っている。重戦車は一方的に殺されるし、そもそもPZ1CでKV-1とかどうすんだよ! じゃけんとっととTier10MT乗りましょうね~。

 

余談だが、味方に殺された友人(ユニカム)が「味方に殺されるライフになっていた、その可能性を考慮していなかったから俺が悪い」と真顔で言っていたときには驚いた。どんな理不尽な目にあっても「1vs29」を徹底するのはまさしく上級者、もしくは変態である。

『アレ』Vol.1の表紙絵師さん決定のお知らせ

こんばんは、<アレ★Club>です。

お待たせしました、11月23日(水・祝)に開催される第二十三回文学フリマ東京で頒布予定の『アレ』Vol.1の表紙絵師さんの発表です。

『アレ』Vol.1の表紙絵師さんは……この方です!

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