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同人サークル<アレ★Club>公式ブログ(通称:「アレ★Blog」)

ジャンル不定カルチャー誌『アレ』を作っている<アレ★Club>の日々の活動記録です。

ロックに「~するべき」ことはない~音楽と政治について考える~

堀江くらは 対談 永井光暁

★対談者紹介★
■堀江くらは(@kuraharu
<アレ★Club>所属のライター/編集者。Blur派。本当に好きなのはグランジとハードロック

◆永井光暁
<アレ★Club>の事務局長。Oasis派。実はサンホラ―。

 

■くらは
先日「#音楽に政治を持ち込むなよ」っていうタグがツイッターで話題になってたけど、アジカンのゴッチさんや、津田大介氏、他にもたくさんの著名人が言及してて盛り上がってましたね。

 

◆永井
自分のTwitterのTLにもそのタグの話題が流れてきたんで一通り追ったんですけど、なんつーか、カオスでしたね。「純粋に音楽を楽しみたいから政治を持ち込まないでほしい」と言う人、ロックやフォークを例に「音楽から政治性は切り離せない!」と言う人、奥田愛基さんや津田大介さんに嫌悪感を示すって意味で同調している人、ネタになりそうな曲を貼りまくる人……色々な人がいましたけど、どうやらハッシュタグの作者は、「過去の政治的な音楽を楽しもう」という意図でこのタグを作ったみたいですね。

 

togetter.com

 

■くらは
僕もTLを少し追ってみました。Rage Against the Machineとか、忌野清志郎の名前が出ててちょっと嬉しかった(笑)

話がそれました。「政治を持ち込まないでほしい」と言う人の中には、「ロックが反体制的なものから生まれたのは知っているけど、政治は持ち込まないで欲しい」や「音楽のフェスなんだから、政治的なことも音楽でやってほしい」という方もいましたね。その一方で、「フェスはお祭りだし、音楽以外のパフォーマンスがあってもいい」と言う人もいたので、これは価値観の問題な気がします。なんか、OasisかBlurか、ライブ中に歌うのはアリかナシかレベルのバトルになりそう……。

 

◆永井
「政治的なことも音楽でやって欲しい」って意見については、今回話題になったザ・アトミックカフェもそうですが、古くはウッドストックがあり、日本だと最近では飲酒運転撲滅運動のSDDとかもあるので、昔から音楽のフェスで政治的なことってやられてたんですよね。実際、そういうイベントではアーティストではない活動家や知識人がステージに上がって色々と主張したり、アーティストも自分の政治観について語ったりしているので、「フェス=音楽だけやってる」ってワケでは決してないです。

 

acf.main.jp

fmosaka.net

 

そんなワケで、今回の件については、なんで今更騒ぎ出したのか不思議なんですが、やはり奥田さんや津田さんの名前がデカかったんでしょうね。で、普段から彼らを嫌いな人たちがそれに乗じて「政治団体がフェスに来るんじゃねーよ!」って騒いでる、と。

 

■くらは
確かに、アンチ的な立場の人がこの話題を大きくした感は否めませんね。ただ、政治と音楽が密接に関わっているということが、どこまで理解されているかについては疑問が残ります。そこまで音楽に詳しくない人にとっては、音楽と政治が密接に関わっているなんて話はどうでもいいんじゃないですかね。音楽と政治についての認識の違いも、このタグが盛り上がった原因ではないでしょうか?

実際、Twitterでも「政治とロックを結び付けないで!」って意見はかなりありました。それも政治的なことを普段つぶやいていない人がです。

 

◆永井
思うんですが、音楽と政治が結びつくことに対してヒステリックに反応する人が多いのは、日本の音楽シーンの現状と関係しているんじゃないですかね。今のこの国の音楽は、ランキングを見れば明らかですが、ラブソングが売れて、他はほとんど売れていないのが現状です。そのため、自然とそういう社会的メッセージ性の薄い楽曲に触れる機会が多くなり、「音楽=手軽な娯楽」という風に価値観が固定されるんでしょう。そしてその結果、良くも悪くも無毒化されたものしか知らないから、今回のようなことが起こると、まるで大事件かのようにアレルギー的に反応する人が出てくる……とまぁ、今回の件の背景は、大体こんな感じじゃないかと。

 

■くらは
海外でもラブソングは人気ですが、一方で今でも政治色の強いものが普通に受け入れられています。むしろ、そういうものの方が多いジャンルもありますし(笑) まぁ、どっちの音楽シーンが優れているとかいうつもりはありませんけど。とにかく、日本の音楽に詳しくない人にとって音楽と政治が結び付いていないというのは、あながち間違ってはなさそうですね。

それを踏まえると、「音楽から政治性は切り離せない!」という批判も、一体どこまで正しいのか分からないですよね。ロックは反体制的だというのは確かに正しいですが、現代ではそうなっていないわけですから。むしろ、今のロックはオタク的なものになってて、少数派が戦う場所というより、少数派が逃げ込む場所になっているイメージです。

 

◆永井
昔は武器だったモノが、今では防空壕になっているってのは、何だか悲しい話ですね。でも実際問題、何かのジャンルに特化するというのがオタク視されるってのはあるかもしれませんね。この国で売れる曲がほとんどJ-POPになってしまったのも、ロックなどのジャンルに特化した音楽がマニアックになるに連れて一般ウケしにくくなって、他方で日本発のJ-POPがいろんなジャンルの音楽の曲調や世界観を包摂していったから、今この国にある音楽のほとんどがJ-POPになってしまったってのが実情ですし。

少し話題を変えますが、こういう音楽と政治の話をする時、出てくる音楽って大抵左向きなんですよね。当世風に言えばリベラルと言いますか。ロックにしろメタルにしろフォークにしろ、その背景には「反体制」がその源流にあるってのは分かるんですが、あぁいうジャンルの音楽って、逆に体制的なモノはないんですかね?

 

■くらは
アンダーグラウンドまで見れば体制的・右寄りなバンドは結構あると思います。ただ、有名なバンドになると知らないので、この辺りは読者の方に教えてほしいですね。

体制的、というのは少し違いますが、体制が育てたジャンルならあります。具体的には北欧メタルですね。スウェーデンなんかでは、国がお金のないバンドマンにリハーサルの場所などを提供するなど資金的な援助をしています。音楽を国の大事な商品として扱っているんですね。「人から金貰ってバンドするなんてダセぇ!」みたいに思う方もいるかもしれませんが、金のないバンドマンを援助する彼女を生み出さないというだけで素晴らしいシステムだと思いますよ(笑)

冗談はさておき、実際に国の援助を受けてデビューした、今世界的な人気を獲得しているバンドもたくさんありますからね。

 

◆永井
なるほど、体制の方から音楽に寄り添っているんですね。それはそれで音楽を大事にしている感があってイイですね。

ところで、今思ったんですけど、今流行りのいわゆる「仲間最高!親と恋人(嫁)にマジ感謝!」系の楽曲って、ある意味でメチャクチャ保守的だと思いませんか?まぁ、マイルドヤンキーが保守かどうかは分かりませんが、何処を見てもラブソングだらけの昨今、実はJ-POPそのものが保守化しているのかもしれませんね。

あと、もしかすると、これから先、物凄く偏ってるアイドルグループとかロックバンドとかが出てくるかもしれませんね。「AIK(愛国)47」とか「Thee One Hundred Million Total Success(一億総活躍)」みたいな(笑)

 

■くらは
また危ない冗談を(笑)炎上するのでやめましょう!

でも、繰り返すようですが、海外で売れているアーティストの中には、かなり過激なことを歌っている人も大勢います。もちろん、海外のリスナーにもそういったアーティストを政治的・音楽的に嫌っている人もいますし、歌詞なんてどうでもいいって人もいます。

ただ、そういうエネルギーの発散方法が、アーティスト・リスナー双方で認められているというのは、音楽の可能性を広げていると思いますね。

そう考えると、「#音楽に政治を持ち込むなよ」で叫ばれていた、「政治的な話を持ち込むな!」という、べき論が「政治的な音楽は嫌い」という好き嫌いの問題になれば、音楽の表現の幅が広がって、音楽業界の活性化にも繋がるんじゃないでしょうか。

 

◆永井
ぶっちゃけ、「べき論」の範囲で喧々諤々やっても、決着は絶対につきませんし、正直不毛ですしね。そういう部分に拘泥するよりかは、創造的・生産的でありたいものです。

 

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代表「話題に入れなくて寂しくて寂しくて震える」

 

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 くらはの趣味。最高に政治色の強い、最高にかっこいいバンド。

地下鉄のミュージシャン ニューヨークにおける音楽と政治

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